高血圧とは?
血管にかかっている圧力が通常よりも高く、血管の機能が少しずつ損なわれていく病気です。
高血圧の基準
- 上が140以上 または 下が90以上 (140 / 90 mmHg 以上)
- 収縮期血圧が 140 mmHg 以上
- 拡張期血圧が 90 mmHg 以上
- 家で測った場合 : 上が135以上 または 下が85以上
血圧は変動しやすいため、1回1回の血圧よりも複数日の平均値が大事です。
高血圧になるとどうなる?
- すぐに出る症状は、ほとんどありません
- 高度な急上昇 (多くは180/120以上) は、症状につながることもあります (高血圧緊急症)
- 長い時間をかけて動脈硬化をおこし、命に関わる病気の原因になります (心筋梗塞や脳梗塞などの合併症)
- 日本人の5大死因のうち、2つに関係します (心疾患と脳血管疾患)
(厚生労働省による人口動態統計, 2020年時点)
- 日本人の5大死因のうち、2つに関係します (心疾患と脳血管疾患)
どうして高血圧になる?
- いくつかの原因が重なっていることが多いです
- 体質 (素因)
- 生活習慣 (食事, 運動, 睡眠, 喫煙, ストレス)
- 他の生活習慣病 (脂質異常症, 糖尿病など) との共通点が多いです
- 塩分のとりすぎ : 他の生活習慣病にはない、高血圧になりうる原因の1つです
- 特定の病気が原因になっている場合があります (二次性高血圧と呼ばれます)
血圧の測りかた
- ご家庭での定期測定を継続いただくのが大事です (ご自身が続けやすい形で構いません)
- 測るタイミング
- 朝・晩の1日2回
- 食事前・薬を飲む前に
- 測り方のポイント
- 座って楽な姿勢で (できれば背もたれつきの椅子に、脚を組まずに)
- 1-2分間、静かに座った後に
- 腕/手首に巻く部分 (カフ) が心臓の高さになるように
- 薄手の袖なら上から巻いても良いです (袖をたくし上げて腕を圧迫しないようにしましょう)
- 2回測った平均値を採用
- 正確な条件で測りやすいので、腕で測るタイプ (上腕カフ式) がおすすめです
- 評価
- 135 / 85 mmHg 以上が高血圧です (上が135以上 または 下が85以上)
- 125 / 75 mmHg 未満が治療の目標です (上が125未満 かつ 下が75未満)
- 季節によって変動することがあります (寒い季節のほうが高くなる傾向があると言われています)
2種類ある血圧は何を表している?
- 上の血圧は動脈の最高圧 (最高血圧) で、心臓が収縮時なので収縮期血圧と呼ばれます
- 下の血圧は動脈の最低圧 (最低血圧) で、心臓が拡張時なので拡張期血圧と呼ばれます
- 血管を圧迫した雑音で測定します (血流がなくなる圧迫に必要圧力と、血流が乱れる程度の圧迫に必要圧力)
- 動脈硬化が進むと、心臓収縮・拡張の圧力差を血管が柔軟に受け止められなくなるため、上下の血圧差 (脈圧) は大きくなります
血圧測定以外に行う検査は?
- 主な検査 : 血液検査、尿検査、心電図検査、胸部レントゲン検査
- 目的
- 動脈硬化による臓器へのダメージの確認
- 薬選びの参考 (糖尿病などの他の病気の有無の確認)
- 薬の副作用の確認
- タイミング
- 治療を開始する時
- 治療で安定しているのを確認する時 (年1回)
- 治療を変更する時
- その他 : 病状の変化に応じて必要と考えられる時
治療
長期間の高血圧による動脈硬化と、その結果の重大な病気を予防するために治療します。
(血圧の数字を下げること自体は最終目的ではありません)
- 生活習慣の改善 → 詳しくは生活習慣のページで解説しています
- 内服薬 : 次のいずれかの場合
- 1か月の生活習慣の改善で目標未達成
- 糖尿病や心房細動などの持病がある
- 過去に脳梗塞・心筋梗塞などの病気を経験している (脳心血管病の既往)
- 複数のリスクを持っている : 男性、タバコ、65歳以上、コレステロールが高い (脂質異常症)
- 高血圧が高度 (≧180/≧110)
※医師向けのガイドラインでは更に細かく分類されていますが、ここでは分かりやすくするため代表的な状況について載せています
目標値
130 / 80 mmHg 未満
75歳以上の場合や副作用で薬の調整が難しい場合など、状況に応じて目標を緩やかに設定することがあります。
内服薬
複数の種類があり、状況によって選択します。
- 主に4種類あります : Ca拮抗薬、ACE阻害薬/ARB、サイアザイド系利尿薬、β遮断薬
- β遮断薬以外の3種類のいずれかから開始いたします
- 高血圧以外の状況によって、優先される薬や使えない薬があります
- 糖尿病 (とくに糖尿病腎症) → ACE阻害薬/ARB
- 心不全 → ACE阻害薬/ARB、β遮断薬 / Ca拮抗薬は慎重投与
- 喘息 → β遮断薬は使用不能
情報源
以下の情報源をもとにした内容を載せています。
- 高血圧治療ガイドライン2019 https://www.jpnsh.jp/guideline.html
- 福井 次矢, 黒川 清. ハリソン内科学 第5版. メディカル・サイエンス・インターナショナル; 2017.