頭痛の性質や他の情報から、診断を考えていきます。まず、精密検査が必要な危険な頭痛かどうかを検討します。
精密検査を考える状況
次のような徴候があるとき精密検査を検討します。
- 頭痛の性質 : 秒単位で突然出現した、悪くなり続けている、痛みがとても強い
- 他の症状 : 神経の症状 など
- 背景 : 高齢で初めて出現した、癌などの治療中の病気がある
精密検査が必要な状況でない場合、頭痛の病気 (一次性頭痛) のことが多いです。ゆっくりと出現した、以前からダラダラと続いている・繰り返している、そこまでひどくない頭痛 などです。
なお、かぜやインフルエンザで熱が出ているときの頭痛など、他の病気に伴って頭痛が出ることもあります (二次性頭痛)。その場合、頭痛自体よりも原因となっている病気への介入を行います。
よくある頭痛
いずれも他に原因のない頭痛の病気 (一次性頭痛) で、頻度が高いものです。
緊張型頭痛
- 日本人の2割以上が抱えている、とてもよくある頭痛です
- 圧迫されるような痛みで、煩わしい症状ですが生活に支障をきたすことは少ないです
- 頭の周囲の筋肉への血流が悪くなったり、痛みが長引きすぎて頭痛に対して過敏になったりすることがメカニズムとして考えられています
- 頭痛がひどいときには痛み止めを使用します
- 頭痛体操などの血流改善法が予防に有効な可能性があります
- 筋肉の緊張を和らげる薬 (チザニジンなど) が有効な場合もあります
片頭痛
- 日本人の1割程度の人にみられる頭痛です
- 女性に多く (男性の約4倍)、10-30代で初めて出てくることが多いです
- いくつかの特徴的な症状があります
- 頭痛が悪い日が明確 (片頭痛発作)
- 生活に支障がある (仕事を休む など)
- 吐き気を伴う
- 片側の脈をうつような頭痛
- 光や音などの感覚が過敏になる
- 頭痛の前兆 (光や感覚の異常を感じる)
- すべての特徴が揃わないことも多いです (両側が痛む片頭痛、前兆がない片頭痛などもあります)
- 一般的な痛み止めでも効果不十分な場合、片頭痛用の痛み止めを使います (トリプタン製剤など)
- 月に2回を超えるような頻繁な片頭痛発作がある場合、予防薬を使うことがあります
情報源
以下の情報源をもとにした内容を載せています。
- 頭痛の診療ガイドライン2021 https://www.jhsnet.net/guideline.html
- 一般の方向けの情報
- 日本頭痛学会ホームページ https://www.jhsnet.net/ippan_zutu_know.html