貧血とは?
- 血液の赤い成分 (赤血球) が病的に薄い状態です
- 赤血球にふくまれるタンパク質 (ヘモグロビン) の濃度 (血色素量) で判定します
- 赤血球は酸素を運ぶ働きをしています
- 貧血になると息切れや疲れやすさを感じやすくなります
「貧血で倒れた」?
強いストレスや立ちくらみなどで、意識を一時的に失うこと (失神) を「貧血で倒れた」と言うことがあります。これは医学用語としては貧血ではありません。(出血などの急な血液の変化がなければ)
神経による血圧調節が上手く働かず、脳への血流が一時的に不足してしまうのが原因です。血管迷走神経性失神や起立性低血圧などの病名が当てはまります。「脳貧血」という表現が比較的近いかもしれません。
(全身の) 貧血とは別のメカニズムなので、診断や対応も変わってきます。
鉄欠乏性貧血
何らかの原因で赤血球の材料の1つである鉄が不足することによる貧血です。治療できる原因があれば、そちらの対応を行います。それと並行して鉄分の補充で貧血の改善を図ります。
- 生理 (月経) の出血
- 病気による出血 (胃腸からの出血、子宮筋腫、癌からの出血 など)
- 鉄分がうまく吸収できていない (胃炎・胃の切除後 など)
鉄剤 (飲み薬) について
- 不足している鉄分を補うための薬です
- 1日に腸から吸収できる鉄には限界があるため、薬を増やしても効果が得られにくい場合があります
- 標準的な処方では1日に約100mgの鉄を含みます (食事やサプリメントと比べて量が多くよく吸収されます)
- 副作用に胃の不快感・気持ち悪さがあります
- 薬には吸収率を上げつつ副作用を減らす工夫がされていますが、それでも一定の割合で副作用が出ます
- 量を減らしたり、飲むタイミングずらしたり、1日おきの内服にしたりする等の工夫を提案します
- 1か月単位で徐々に改善することが期待できます
- 十分に鉄が体に蓄えられたのを確認して鉄剤の補充を完了します
- フェリチンという血液項目を鉄の蓄えの指標にします
その他の貧血
貧血は様々な原因があります。鉄欠乏性貧血以外の代表的な原因は以下のようなものです。
(加齢に伴う変化など、特定の病気では説明しにくい変化の場合もあります)
- 鉄分以外の必要成分不足 (葉酸、ビタミンB12など)
- 腎臓の病気による、赤血球を造るホルモンの活性不足
- 慢性の全身炎症による、赤血球の生産不良
- 骨髄 (赤血球の生産場所) の病気による、赤血球・他の血球の生産不良
- 異常な免疫などによる、赤血球の損傷