はしか (麻しん) について、病気の情報と現時点の流行情報をまとめます。
国内で感染者が出ると広く報道され、ご心配になられる方が多いと思われるため、記事にしています。
記事更新日 (2024年7月4日) の直近では、2024年2月26日に厚生労働省から注意喚起が出されています。海外での流行が報告されているため、国内でも注意する必要があるという内容です。
はしか (麻しん) は、どのくらい流行っている?
国立感染症研究所の報告によると、2024年に日本で報告された感染者数は24名・埼玉県内では0名です。関東では東京で7名の報告がありました。(2024年7月4日時点)
近年では2019年に700名以上の流行がありました。2020年・2021年・2022年は6~10名、昨年2023年は28名でした。
2020年以降に少なかった理由に、新型コロナウイルス感染症対策が推測されます。海外渡航者が発症する事例が大幅に減ったためと思われます。
感染者数は2019年までと比べるとかなり少ないですが、昨年(2023年)よりは増えている懸念があります。
はしか (麻しん) は、なぜ警戒されている?
2019年までの感染者数や新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの感染者数と比べると少ない印象があるかもしれません。実際、過剰に心配する必要はないものと思います。ただし、はしか (麻しん) が一般的なウイルス感染症と異なる点があることも知っておくべきです。
- 感染力が極めて強い
- 高熱が出る・まれに重症化する
はしか (麻しん) の感染力は極めて高い
空気感染する数少ない感染症の1つです。
ウイルスをふくむ物質 (飛沫核) が直径5μm以下と小さいため拡散しやすいです。とても感染しやすく普通のマスクでは対策が不十分です。接する人はN95マスクを着用することが推奨されています。
そして、免疫を持っていない人が感染するとほぼ確実に発症すると言われています。
空気感染する他の感染症として、水痘 (みずぼうそう) や結核が知られています。
新型コロナウイルス感染症やインフルエンザも感染しやすい印象があるかもしれませんが、基本は (医学用語としての) 空気感染 (飛沫核感染) ではありません。これらは飛沫感染という形式で、空気感染よりは原因のウイルスをふくむ物質 (飛沫) が大きいです。
つまり、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザよりも、はしか (麻しん) のほうが格段に感染しやすいです。
はしか (麻しん) にかかると高熱が出る
当初は風邪のような発熱、咳、鼻水のみですが、途中から高熱と全身の発疹をおこすのが典型的です。
また合併症として数%の人は肺炎や中耳炎を起こします。とくに肺炎は重症化すると命に関わる可能性があります。その他にも、稀ながら、脳の炎症 (1000人に1人) や心臓の炎症など、様々な合併症があります。
特効薬はないため、自分の免疫力で回復してくる間の症状を緩和する治療 (対症療法) が行われます。
抗体があるか知りたい / ワクチンを打ちたい
はしか (麻しん) は、ワクチンが普及したことで大幅に減ってきた歴史があります。
予防のためにワクチン接種がとても大事です。現在は小児期の定期接種として2回接種が行われています。
定期接種が開始された時期の関係で、接種を受けていない可能性がある年代の方もいます。大まかには、1972年以前の生まれの方は未接種、2000年以前の生まれの方は1回接種のみの可能性があります。
ワクチンを2回接種したか定かではない方や、医療従事者などのはしか (麻しん) 患者に接する可能性がある方は、まずは抗体があることを確認し、抗体がない場合はワクチンを接種することが勧められます。
残念ながら抗体の検査やワクチンの接種は、医療保険が使用できません。(全額自己負担)
- 抗体検査 (麻しんウイルスIgG, EIA法) : 4,000円
- ワクチン接種 (麻しん・風しん混合ワクチン) : 9,000円
抗体の検査は予約なしの来院でも行うことができます。結果は翌日以降のお知らせとなります。
ワクチンは事前のご相談・ご予約が必要です。ご希望に応じて取り寄せとなるためです。
お気軽にお問い合わせください。
はしか (麻しん) ワクチンはご用意に時間がかかることがあります。(2024年7月時点)
メーカーの問題で出荷量が限定されているためです。
流通量が回復してきていますが、ご迷惑をおかけすることがあります。あらかじめご了承ください。