はしか (麻しん) について

はしか (麻しん) についての報道が増えてきています。

“同じ部屋にいるだけで空気感染も” はしかの怖さは【6/1版】- NHK WEB

当院でも何度かご質問いただくことがありました。そこで、現時点の流行情報と、はしか (麻しん) についての情報についてまとめます。

はしか (麻しん) は、どのくらい流行っている?

国立感染症研究所の報告によると、2023年に日本で報告された感染者数は21名です。埼玉県では報告されていません。ほとんどが大人の感染例です。(2023年7月5日時点)

近年では2019年に700名以上の流行がありましたが、2020年・2021年・2022年6~10名でした。
直近3年間が少なかった理由に、新型コロナウイルス感染症対策が推測されます。海外渡航者が発症する事例が大幅に減ったためと思われます。

2019年までに比べると感染者数はかなり少ないですが、直近3年間と比べると倍以上のペースで感染者が出ているとも言えます。

はしか (麻しん) は、なぜ警戒されている?

2019年までの感染者数や新型コロナウイルス感染症の感染者数と比べると、随分少ないという印象もあるかもしれません。実際、過剰に心配する必要はないものと思います。ただし、はしか (麻しん) が一般的なウイルス感染症と異なる点があることも知っておくべきです。

  • 感染力が極めて強い
  • 高熱が出る・まれに重症化する

はしか (麻しん) の感染力は極めて高い

(医学用語としての) 空気感染をきたす数少ない感染症です。

ウイルスをふくむ物質 (飛沫核) が直径5μm以下と小さいため拡散しやすいです。とても感染しやすく普通のマスクでは対策が不十分です。接する人はN95マスクを着用することが推奨されています。

そして、免疫を持っていない人が感染するとほぼ確実に発症すると言われています。

空気感染をきたす他の感染症として、水痘 (みずぼうそう) や結核が知られています。
新型コロナウイルス感染症やインフルエンザも感染しやすい印象があるかもしれませんが、基本は (医学用語としての) 空気感染ではありません。飛沫感染という様式で、空気感染と比べると原因のウイルスをふくむ物質 (飛沫) が大きいため、感染力が一段低いです。

はしか (麻しん) にかかると高熱が出る

当初は風邪のような発熱、咳、鼻水のみですが、途中から高熱と全身の発疹をおこすのが典型的です。

また合併症として数%の人は肺炎中耳炎を起こします。とくに肺炎は重症化すると命に関わる可能性があります。その他にも、稀ながら、脳の炎症 (1000人に1人) や心臓の炎症など、様々な合併症があります。

特効薬はないため、自分の免疫力で回復してくる間、症状を緩和するための治療 (対症療法) が行われます。

抗体があるか知りたい / ワクチンを打ちたい

はしか (麻しん) は、ワクチンが普及したことで、昔にくらべると大幅に減ってきた歴史があります。予防のためにワクチン接種がとても大事です。通常は小児期の定期接種として接種されている方が大半です。十分な抗体をつけるために2回の接種が行われます。

しかし、ワクチンを2回接種したか定かではない方や、医療従事者などのはしか (麻しん) 患者に接する可能性がある方は、抗体がついていることを確認することが勧められます。

残念ながら抗体の検査やワクチンの接種は、医療保険が使用できません。(保険適用外・全額自己負担)
当院では以下の価格を設定しています。

  • 抗体検査 (麻しんウイルスIgG, EIA法) : 4,000円
  • ワクチン接種 (麻しん・風しん混合ワクチン) : 9,000円

検査は予約なしの来院でも行うことができます。結果は翌日以降のお知らせとなります。
ワクチンは事前のご相談・ご予約が必要です。ご希望に応じて取り寄せとなるためです。
お気軽にお問い合わせください。